歯ぎしりがもたらす7つの危険性と歯科でできる治療について
歯科お役立ちコラム
2016.12.27
心当たりのある方は、もしかすると寝ている間に歯ぎしりをしているのかもしれません。
今回は、歯ぎしりによって起こる悪影響とその対策、治療方法についてまとめてみました。
歯ぎしりによって起こる悪影響
1.歯が磨り減ってしまう
寝ている間に起こる歯ぎしりは、通常の食事などでおこなう咀嚼時とは違い、本人の体重、またはそれ以上の力が加わるといわれています。
歯と歯が必要以上の力で擦り合うため、噛み合わせの凹凸が徐々に失われ、咀嚼機能が低下するだけでなく、正しい噛み合せの位置も分からなくなってしまいます。
2.歯周病の悪化につながる
歯ぎしりによって強い力がかかるのは、歯だけではありません。歯を支える歯茎や顎骨にも悪影響を及ぼします。
強い力がかかることで歯が揺さぶられ、それを支える顎骨が徐々に溶かされ始めます。歯と歯茎の隙間が広がると、細菌が入り込みやすくなりますので、歯周病が悪化してしまいます。
また、犬歯(糸切り歯)へ摩耗が加わると、前歯と奥歯のバランスが崩れるため、結果的に奥歯が歯周病になりやすくなるともいわれています。
3.知覚過敏になりやすくなる
歯が摩耗するということは、歯の表面に存在するエナメル質の量が減るということです。
エナメル質は、他の組織に比べてとても硬く、鎧のような役目をもっていますが、薄くなると内部への刺激が伝わりやすくなります。
それによって起こるトラブルの一つが、温度差のあるものがしみる、知覚過敏です。知覚過敏は、軽度であれば温度差のあるものを避けることで痛みを回避できますが、重度になると歯ブラシの毛先を当てることすらできなくなる恐ろしい病気です。
歯ぎしりによる噛み合わせの部分の凹凸の減少が見られたときは、できるだけ早く歯科医院で相談するようにして下さい。
4.顎関節症の原因になりうる
歯ぎしりは、強い力で噛み合いながら、下顎が前後左右に動きます。
下顎は、顎関節と繋がっており、過度な負担をかけると顎関節症を引き起こします。起床時に顎の痛みを感じる場合は、放置すると顎関節症を発症する可能性があります。症状が悪化すると、普段の会話や食事にも支障をきたすようになるので、注意が必要です。
5.肩こり・頭痛をおこす
咀嚼時には、下顎と繋がる顔面の筋肉が働いていますが、その筋肉は首や肩、背中など他の組織に繋がっています。歯ぎしりによる過度な負担は、顎関節以外にも関与する筋肉が筋緊張を起こしやすくなり、繋がる首や肩、背中にも影響します。
結果、頭痛や肩こり、背中の痛みの原因となり、症状が慢性化する恐れもあるため、早めの対策が必要です。
首や肩、背中のハリを感じたときは、歯ぎしりをしていないか確認してみましょう。
6.歯並びが変化する
歯と歯が強い力でぶつかり合う歯ぎしりは、歯が揺れ動く原因となり、歯並びに変化が起こります。不適切な歯並びになってしまうことで、咀嚼機能の低下、歯周病の悪化、虫歯が発生しやすくなるなど、さまざまなトラブルの原因となります。
7.消化不良を引き起こしやすくなる
歯ぎしりによって噛み合わせの不具合や顎関節の痛みが起こると、咀嚼機能を低下させるため、結果的に消化不良を引き起こす原因にもなりかねません。
しっかりと噛めない、歯同士がフィットする位置が分からないと感じたときは、放置せずに歯科医院で診てもらうようにしましょう。
歯科での歯ぎしり対策はどんなことをするの?
歯ぎしりを放置すると、意外と危険であることがおわかりいただけたかと思います。
次は、歯ぎしりに対してどんな治療が可能なのか見てみましょう。
1.専用のマウスピースの作製
歯型をとり、患者様専用のマウスピースを作製します。
マウスピースを使うことで、歯ぎしりによる歯と歯の接触を防止し、その結果、歯の摩耗や動揺、顎関節症のリスクが軽減されます。
長期間使用することで、マウスピースが摩耗して穴が開くことがあります。しかしそれは、歯が強く当たっている箇所のサインです。捨てずに歯科医院で確認してもらい、再度新しいマウスピースを作製してもらうようにして下さい。
2.噛み合わせの調節
噛み合わせの不具合が、うまく噛めないことによるストレスを起こし、歯ぎしりにつながることがあります。
そのため歯ぎしりの治療では、噛み合わせについてもミクロ単位で調節することで、口腔環境を改善する場合が多くあります。
まとめ
歯ぎしりは、歯だけでなく全身に悪影響を及ぼす危険があります。
歯や顎の痛み、頭痛や首や肩のコリが治らないときは、歯ぎしりの有無を調べるためにも、まずは歯科医院で相談してみましょう。対策をすることで、より快適な毎日を送れるようになりますよ。